越水による破堤などという単純素朴な虚偽が大手を振って罷り通っていますが、三坂の破堤原因はいささか複雑です。それにくらべると、若宮戸における氾濫の原因ははるかに単純です。若宮戸の河畔砂丘が1960年代後半に掘削されてしまい、築堤もされなかったために、洪水が簡単に氾濫したのです。25.35k付近では河畔砂丘をソーラー発電業者が掘削しなかったとしても、多少氾濫量が減っただけですし、24.75k(正確には24.63k)付近の河畔砂丘はきわめて低平だったために、水位が少々上がればいずれ氾濫するのは必然でした。2018年に国家賠償請求訴訟が提起され、現在水戸地裁での審理が続いていますが、被告国は、治水においては下流の整備を先におこなうのが原則であるので、豊岡や水海道元町の築堤を優先しなけらばならなかったために、若宮戸の築堤を後回しにせざるをえなかったのだなどと主張しています。この、一見もっともらしいけれどもその実たいした根拠のない「下流優先論」で、若宮戸の築堤を怠ったことを正当化できるのでしょうか?
下流の整備が優先すると言っていながら、国交省は鬼怒川最下流の築堤に手間取り、4年前と同じ場所の氾濫被害を防ぐことができなかったのですが、その失態を隠すため、4kmにわたる区間の水位測量結果を全部抹消しました。