臥仏寺の西2kmほど、北京市街の北西、香山の麓にある碧雲寺(へきうんじ)は、清の乾隆帝の命令により役人の私邸を寺院に転用したもので、伽藍の主軸線は南北ではなく東西方向です。西方極楽世界にもっとも近い一番奥に金剛宝座塔とよばれる巨大な舎利塔群があります。山の斜面を少しずつ登ったそこは標高170mほどで、標高50mの北京の市街が眼下に広がります。
立地のすばらしさと、北京の寺院のなかでも突出した逸品といわれる牌楼(舎利殿入り口)や金剛宝座塔、獅子像や香炉など、きわめて印象深いものがありました。踏みつけられている子獅子の悲鳴が聞こえてきそうです。中国の寺院の仏像は「四人組」時代に破壊されたものが多く、新たに作られたものなどは、いささか見劣りがするのですが、ここの金剛宝座塔の石仏は傑出しています。
第5の主殿が「中山記念堂」となっているとおり、孫文(孫中山)の遺体が一時安置されたことでも知られています。